Rain shadow─偽りのレヴェル─




どうしてなにも言ってくれないの。


あなたにとってわたしは水本 爽雨だったでしょう…?

少しだけ女っぽいけど優しくて、いざというときは頼れる、そんな先輩だったはずでしょう…?



「なんで…、なにも言わないの……っ、」



なにか言って、なにか言ってよ。

わたしは頑張ってきたよ。
爽雨になるために、やってきた。


それがこんなあっさり見破られてるなんて、これじゃあ水本兄妹は馬鹿にされつづけるだけだ。



「言えよ瀧……っ!!!」


「じゃあ言います。…おれには、ただの女の子にしか見えません」


「っ、」


「あなたは爽雨さんじゃない。爽雨さんのふりをしているだけの深雨さんだ」



どうしてそんないじわるを言うの。

瀧だけはわたしの味方だった。
どんなわたしでも、いつも味方だった。


瀧までわたしをずっと馬鹿にしていたの……?



「深雨さん、深雨さん、みうさん、」


「やっ、やめろ…っ!!僕は爽雨だ…っ、」


「なら力ずくでもおれを離れさせてみてください。爽雨さんならできるはずです」



性格が悪すぎる。

瀧、いつからそんなこと言うようになったの。



「…ほら、できないでしょ。あなたは力もなければ泣き虫で…、おれに守られていればいい女の子なんですよ」



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