Rain shadow─偽りのレヴェル─




「おまえは早く帰って5日後に備えろ」


「…なんや、今日のおまえちょっとおかし───……なに、似合わん顔してんねん、」



似合わない顔…?
って、どんな顔……?

いつもどおりにはできない時点で、まだわたしは人の心を持っているんだと。



「っ…、あかや、」



あぁ、情けない。

いつもどおり話しかけてくれる友人を見ただけで揺らぐなんて。



「おい、どないしたん。…なに泣いてん」


「…ぼくは…、僕は今日、」



とある男を殺すんだ───…。


やっと戻ったRain shadowを壊す羽目になったとしても、私には役目があるから。

しなきゃいけない、
わかってる、だから泣いてたらだめ。



「烏間さん!水本さんの護衛は今日は俺たちRavenでしたっけ?」


「総長…?どうかされたんすか…?」


「…なんでもあらへん。爽雨はオレが送ってくから、お前らはもう帰ってええで」


「わかりました!」



ドア付近から声をかけてくる下っぱへ、そう言いながら私を隠すように赤矢は前に立った。

ぞろぞろと教室を出ていくクラスメイトたち。



「最近のおまえ、泣いてばっかやん」


「……、わるい、」


「…まぁお前がどうなろうと、心配せんでもオレはずっと友達でいてやるわ」



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