Rain shadow─偽りのレヴェル─
頭がくらくらしてどうなってるか分からないけど、制服は意味を成していなくて。
つめたい空気に触れてスースーと慣れない肌、それでも冷めない熱い身体。
「…んじゃあ、このまま最後までいい?」
「なっ、なに言ってるの…っ!?だめに決まってる…っ」
「初めてだろ?キスを教えてやったのも俺なんだから、それ以上も教えてやらねぇとな」
「久遠くん…っ!」
「ちなみに優しさには定評あるから安心しろって。殺されかけても許すくらいだから俺」
嫌味のように言ってくる。
だけどわたしの涙に困った顔をしてくれている時点で、無理やりする気は見られなかった。
「せめてもうちょい触らせろ」
「やだ…っ!そんなところに手なんか入れないで…っ」
「むり、腹立って吐きそう。…ほんと油断も隙もねぇな、あの年中変態マフラー」
遠くから聞こえる雷が、ピカッと一瞬映し出してくれる。
吸い込まれそうな目と、いじわるな舌と、愛しさを含む動きを。
「瀧のこと、好きなの?」
「……すき、だよ」
まさかわたしが大人しくうなずくとは思っていなかったんだろう。
少なくとも動揺した瞳が合わさった。
「…俺よりも?」
「……わからない、」
「わからないってなに」