Rain shadow─偽りのレヴェル─
俺の代わりに話を振るFoxの総長。
この役目は初期のRain shadowの頃はずっと爽雨がしていた。
やっぱりあいつにしか参謀は務まらなくて、俺が持っていないものをたくさん持っていた。
「鬼木は違法ドラッグの売買にも手を出しているらしい」
「なら、なおさら今度はそこに引っ掛けて警察に突き出すのがいちばんいいね。もう2度と出てこられないくらいに。でしょ?瀧」
「はい。でもそれ以外にも、きっとあいつはいろいろ姑息な手を使ってきます。
おれたち相手に真っ向に来るはずがありません」
「…だってさ。綾都くん」
許せないね、と遼成は低い声で落とした。
あぁ、許せない。
その姑息な手とやらは、かつて翠加と爽雨にも使用しただろうから。
───そんなとき、
「たっ、助けてください……っ!!助けてくれ!!助けて……!!!」
ドンドンドンドンッ!!!
このアジトへ通じる鉄の扉が勢いよく叩かれる音。
ぶわっと異様なまでの空気に変わりつつ、俺たちはすぐに駆けつけた。
「おい、どないしたんや。なにがあったん?」
そこにはRavenの下っぱがひとり。
こいつは確か今日、深雨を家まで送りに向かわせたひとりだったような気がする。