Rain shadow─偽りのレヴェル─




『もうっ!爽雨くんってそーいうところあるよ!!』


『……どういうところ』


『そうやって自己完結させちゃうの!!ひとの気持ち勝手に決めつけてっ』


『……それは、ごめん、』



ぷくっと頬を膨らませた表情も可愛くてたまらなくて、俺はもっと引き寄せた。


誰にも邪魔されない。
ここは、本当にふたりきり。

俺が何よりも望んだ、俺の幸せがある場所。



『…でもお前は……最後にアヤハを呼んでただろ、』



俺じゃなく、あいつを。


みんなそうだ。

俺のことなんて結局は本心から信用してなければ、頼ってもないんだ。

ただあいつの2番手ってだけで。



『…だって爽雨くんにも、Rain shadowのみんなにも…死んでほしくなかったから、』


『…え?』


『銃持ってたの、毒が入ってるって…、だからあいつらは呼び出して殺す気だったの、』



そんな危なくて恐ろしい会話だとしても、この場所は恐怖を与えはしなかった。


せせらぐ川の流れ、キラキラした水面。

爽やかな風に乗って、どこからか小鳥のさえずりが聞こえてくる。



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