Rain shadow─偽りのレヴェル─




『私バカだから、みんなを救う方法がそれしか分からなくてっ、
爽雨くんを傷つけることまで……考えられなかった…っ、』


『…泣くなよ翠加、』


『むりぃぃっ、むりっ、爽雨くんがひどいこと言うから…っ』



どういう……ことだ……?


俺はひとりで勘違いをしたまま鬼木に煽られて、そこに乗っかって、自殺を選んで。


俺は、最低なことをして。

綾都にも瀧にも、深雨にも、取り返しのつかないものを残して死んでいった……ってことか…?



『翠加……、俺のこと、好きだったの…?』


『だからそう言ってるっ、』


『…本当に…?俺は綾都にぜんぶ負けてるような男だ…、
お前を守れなくて、鬼木にも勝てなくて……、そんな、情けない男なんだよ、』



自信なんかない。

俺はいつだって自信なんかないから、俺を認めてくれる翠加や瀧に甘えてばかりいた。


だからそんなお前らが綾都を頼ったんだって勘違いしたとき、耐えられなかった。



『もう爽雨くんっ!私が好きになった男の子をそんなふうに悪く言わないでっ!』


『ちょっ、おい翠加、』


『ばかっ、爽雨くんのアホっ』



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