Rain shadow─偽りのレヴェル─
「うわっ、ガラス飛び散ってるやん!おい瀧───……、」
「か、烏間先輩っ、おきた、爽雨さんがっ、おきた、おきた……っ、」
ガタガタガタッと忙しくベッド脇に近づいてくる赤髪。
相変わらずお前は賑やかだ。
「おい、見えとるか…?オレのこと…わかるか…?」
「……あか…や、」
「せや赤矢や!!」
次からお見舞い来るとき、さすがにマンガの朗読はやめろ。
なに言ってるかまったく分かんないんだよ。
「てかリョウセーどこおるん!?ナースなんか口説かんでええねんあのドアホ…!!
はよお前は仁と綾羽に連絡せえ……っ!!」
「はいっ、はい…っ!!」
毒蛇と烏だけじゃなく、狐や幽霊も変わらずいるのか。
変わらず、みんな仲良く桃太郎してるのか。
「水本、俺のことは忘れてないか…?」
「……たまいけ、」
「爽雨くん爽雨くん、じゃあ俺は?」
「………だれだ…、」
「うん間違いない。君は本物の参謀だよ」
あぁ、Rain shadowだ。
俺たちで作った、翠加が大好きなRain shadow。
「爽雨……ッ!!!」
どっちで呼べばいいか迷う。
でも俺はやっぱり、ほんとうの名前のほうが好きだから。
「……あや……は、」
「お前…っ、おまえ……っ、」