Rain shadow─偽りのレヴェル─




毒が入った銃弾を左腕に食らったらしい妹。

それは俺とも因縁のある鬼木からのもの。


けれどそいつは今、かなり凶悪な受刑者が揃うと言われている東北の刑務所へ入れられていると、綾羽から聞いていた。



「綾羽さん、腕の模様は…消えるんですか、」


「少しずつだけど引いてはきてる。薬の効果もあるみたいだし」


「…後遺症とかは、」


「…それは本人が目覚めてからだな」



不安の残る微妙な反応で瞳を落とした瀧。


毒が斑点のように広がっていたけれど、確かに最初見たときより落ち着いてはきている。


だけど深雨は女の子だから。

とくに妹に特別な感情を抱いているらしい男ふたりは、俺以上にどこかやりきれないんだろう。



「深雨さん、もし痕が残ってもおれのマフラーで隠してあげますから」


「必要ねぇわ。俺が毎日こいつに包帯巻いてやるって決めてるから」


「やめてください。そんなの変態じゃないですか」


「よく言えたな、年中変態マフラー」



どうやら、目覚めたら目覚めたで面倒な毎日が妹に待っていそうだ。


それにしても本当に綾羽と瀧は深雨に惚れてたんだな…。

兄である俺でもびっくりしたモテ期は未だに絶賛続行中らしく。



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