Rain shadow─偽りのレヴェル─
「…鱗みたいでグロいんで、だから同じ模様のマフラーで隠してるんです」
「…瀧、」
「っ!」
無意識にも彼の頭を撫でてしまっていた。
そっと撫でて、また撫でて、言葉をかけてあげられない代わりに微笑む。
「マフラー、似合ってるよすごく。わかりやすいから一目見ただけで瀧って分かっちゃう」
「……、」
「あっ、ごめんっ。男に撫でられても気持ち悪いよな、」
静まった空気を誤魔化しきれないとしても、パッと勢いよく手を離す。
いけない、素が出ちゃってた。
口調だって男らしくって決めたでしょわたし…!
「……虐待、されてたんです」
言い終わってから「しまった」と言うみたいに、その後輩は瞳を逸らした。
けれどわたしが柔らかい顔をしていたからか、そんな必要ないんだよって気持ちが伝わっていたからか。
彼は居たたまれなさそうにしながらも、マフラーに埋めた口元からこもった音を出す。
「母親からずっと受けてて、…もう今はおれも力を手にしたから平気ですけど、」
「…ごめん瀧、気持ち悪いかもだけど許して」
「え、っ…!」