Rain shadow─偽りのレヴェル─
いつの間にかすぐ隣に久遠 綾都は来ていた。
「そうなのか…?じゃあこれってあいつらの下着…?」
「なわけ。連れ込んだオンナのだよ」
「…おん、な…?」
よくよく考えてみればおかしい。
こんな教師も立ち入ることができないフロアーにダブルベッドだなんて。
仄かに香水のような匂いが掠めているし、それは確実に女の匂いで。
「っ…!!なっ、なんだよこれ…!!」
「ずいぶん積極的だったから俺を誘ってんのかと思ったわ」
「そっ、そんなわけないだろ…!!」
知ってたらこんなところ来なかった…!!
むしろどうして教えてくれなかったの…!!
まさかこんな、こんな場所だったなんて…。
「第一っ、僕は男だぞ…!!」
「…へぇ?」
「っ…!!」
パシッと腕が取られて、何事かと反応しようとしていたときには背中は柔らかかった。
ギシッと鳴ってからの視界は天井。
そんな天井もすぐに覆われてしまう。
「なにしてんだ…っ!離せ…!!」
「おまえ、その口調って自然?」
「え…、」
「自然だったらすげぇ嫌なんだけど俺」