Rain shadow─偽りのレヴェル─
「わたし、見たい。お兄ちゃんとあなたが作り上げた本来のRain shadowを」
この目で、見たいんだ───。
そう言ったわたしに兄を重ねたのか、彼は泣きそうな顔で見つめてきた。
「これでも一応、作戦は練ってるんだよ」
「……作戦?」
「うん。名づけて、みんなの化けの皮を剥がそう作戦!」
「…は?」
まだ知らないことが多すぎるから。
だとしてもいっぺんに知ろうとすることは、どう考えたって無理。
だからひとつひとつ知っていくの。
ちょっと前に唯一の1年生である蛇島 瀧が傷のことを話してくれたみたいに。
「任せて“綾都”。必ず僕がRain shadowを復活させてみせるよ」
「……俺も、復活させるよ…必ず」
被せるようにキーンコーンカーンコーンと、最終下校時刻のチャイムが鳴った。
「みんなの人柄…ですか」
「うん。瀧の知ってるかぎりでいいんだ」
呼び出したらすぐ来てくれる。
どんなときだとしても優先してくれる。
もしかするとお兄ちゃんはこの子を下僕のように扱ってたのかな…って、ちょっとだけ心配しちゃったくらいだ。