Rain shadow─偽りのレヴェル─
「…俺が女だったらね、たぶん惚れてた」
「……それ、綾都にも言われた」
「ははっ、あの人もけっこう気持ち悪いから」
もうそろそろ来るはずの彼は、なかなか来ない。
だからドアの前に立っている人影には気づかないふりをしてあげよう。
「…でも僕は、お前のことはまだそんなに信じてない」
「あらー」
「性格が終わってそうだからな」
化け狐って言われているくらいなんだ。
常に用心して越したことはないだろうから。
でも、前のような恐怖は今は感じていなくて。
その銀髪すごくきれいって純粋に思えるくらいには変わっていた。
「あぁそれと爽雨くん、もうひとつだけ」
「…なんだ、」
「信じてくれないだろうけど、Rain shadowイチひねくれてて性格悪いのは俺じゃないから」
「嘘つけ」
そっかー、知ってたかー。
ならいいね、うんうん。
そんなおちゃらけた返事に、張り詰めていた空気はどこか崩れた。
けれど、再び静かなものに戻る。
「俺が知ってる情報をちょこっと教えると、Rain shadowでいちばん総長にも幹部にも向いてないのは霊池」
「…向いてない…?」
「うん。あいつは優しすぎるから」