Rain shadow─偽りのレヴェル─




「瀧は…姉弟とか、いる?」


「あー、うん、お姉さんがひとりね」


「…やっぱり」


「でも、…殺されたんだって」



類は友を呼ぶ。

真っ先に頭に浮かんだ言葉はこれだった。



「……だれ、に、」


「俺たちみたいなのってさ、家族とか友達とか、周りが狙われやすいんだよ。
それが唯一の弱味でもあるから。だから俺はそーいうの、作らないようにしてる」



質問の答えが返ってこなかった。

それはきっと、彼も広げたくはなかったからなのだろう。


親だろうか。

ずっと母親から虐待を受けていたって言っていたから。



「落ち着いて結べばひとつなのに、みんなぐしゃっとしちゃうんだから」



その言葉がすべてなんじゃないかなって思った。

謎だらけの組織の、すべて。



「……おい佐狐、」


「…君たちは俺が3年の先輩ってこと理解してる?」


「たぶんしてない」



もうやめよう、この話は。

わたしが自分の目ですべて確かめればいいだけなんだから。


ニッと無理やりにも笑ってみせた。

これは少し前の意味深発言に対して「いやだ」という意味を持つ笑顔だ。



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