Rain shadow─偽りのレヴェル─
section.2
見えてきた秘密
「…………」
本当にこんなのがあるんだ…と、1周して感心してしまった。
下駄箱でもなく、ロッカーでもなく、誰かに手渡されたわけでもなく。
それは隠すことなく机のうえに堂々と置かれている、四つ折りに畳まれた厚手の紙を見つけた朝。
“果たし状”と、表面には筆のような太い文字でそう書いてある。
「おー、わざわざ手紙なんて律儀なやっちゃなー」
果たし状を手にして固まっているわたしの背中、ひょっこり顔を出して覗き見てくるひとり。
このクラスメイトだって一応はRain shadowでもあるはずなのに、まるで他人事のように言ってくる。
「……赤矢、お前のところの仕業…?」
「ちゃうわ。うちのもんはそない面倒なことせえへんし。それにどう考えたって、その果たし状はおまえ個人宛やん」
そこにはしっかりと“水本 爽雨”と、名指しだった。
「文句あるんなら直々に相手してやるとか煽った結果やな」
「……」
……確かに言ったけど。
あれは言葉のあやというか、もちろん嘘ではないとしても…。
でもこれって確実に物理攻撃のお誘いだよね…?