Rain shadow─偽りのレヴェル─
だとしてもわたしを敵対視しているわけではなく、本当に楽しいことが好きなキャラクターだとは理解してきた最近だった。
「まさかお前、ここでも話し合いでケリつけるとかふざけたこと言う気ちゃうやろな?」
「…そのつもりだよ」
「なんでや、ここではそんなもん通用せんってことはお前が散々わかっとるはずやろ。
……それがお前の失敗やったんや爽雨」
「え…?」
トーンを変えて静かに静かに落とされた声は、きっと本音なのだろうと。
わたしが顔を上げたときにはもう背中を向けてしまっていた。
「赤矢!」
これから授業が始まるというのに教室を出て行こうとする黒パーカー男へ、止めるつもりはなかったが名前を呼んだ。
「なんや」と、足を止めて振り返ってくれる。
「そうかもしれない、でも僕はもう…今までの僕じゃないんだ」
「……」
わたし、やめたんだ。
完全にお兄ちゃんになるのはやめたの。
わたしはわたしとして水本 爽雨になる。
たとえあなた達が知っている、求めている参謀じゃなくなってしまったとしても、それ以上の参謀になりたいって。