Rain shadow─偽りのレヴェル─
そこまでは言えないけれど、赤矢、わたしは君が揃ったRain shadowを見たいから。
「また、いつでもアジトに来ていいから。みんな赤矢を待ってるよ」
ゲーム、赤矢がいなきゃ面白くないって佐狐もたまに言ってる。
赤矢が揃わないとビリヤードだってダーツだって盛り上がらないって。
そんなドアの前に立ち尽くした赤矢は、ゾクッとするほどの真剣な面持ちに変わっていた。
「…んなら、お前はその果たし状の大元が誰かって予想ついてるん?」
「……たぶん僕に文句がある連中だと、」
「ちゃうわドアホ」
まるでわたしの考えは甘いと、一刀両断するようにバッサリと切り捨てられた。
「いまのお前が想像もできんような人間が実は大元やったりするんや。
…オレはそれがなんとなく見えとるから、そんなRain shadowには戻りたないねん」
佐狐も赤矢も、そんな言い方をしたらRain shadowのなかに黒幕がいるって言っているようにしか聞こえない。
なにを隠しているの。
あの組織にはいったい何が隠れているの。
「なんで…戻りたくないの?それが怖かったりするの、か?」
「なんでそうなんねん。そいつの気持ちも分かるからこそ、誰もどうすることもできへんのや」