Rain shadow─偽りのレヴェル─
………霊池先輩、呼び止めるならもう少し早く呼び止めてほしかった。
かなり先を歩いて階段を降りる手前でストップをかけられるわたし。
ボソッとつぶやかれたのに不思議と聞こえてくる声は、なんかすごく幽霊っぽい。
「なんですか?」
再びタタタタタッと駆け寄る、そこはGhostのたまり場とも言われている東棟。
普通ならGhost以外が侵入すると警戒しかされない場所だけれど、それでもわたしは別らしい。
やはりRain shadowの幹部のひとりが歩けば自然と道は開けてしまって。
「…敬語、やめてくれないか」
「え、」
「それに呼び方も。お前は霊池って呼び捨てだったはずだろ」
お兄ちゃん、さすがに相手は先輩なんだから呼び捨てとタメ口はだめだよ…。
あれ……?
でもそれって佐狐にも当てはまることのはずだけど、やっぱりあの人にはそう思うことができない。
まぁそれも佐狐 遼成の良さだと、言い聞かせる。
「…やめたんです」
「やめた…?」
「はい、僕にとってあなたは先輩ですから。これからは僕のやりたいようにします」