Rain shadow─偽りのレヴェル─
わしゃわしゃと髪をぐしゃぐしゃにすると、照れつつも従ってくれる。
こんなときまで従順。
ちょっとは反抗したっていいんだよ?と思いながらも、わたしもそんな瀧に甘えてるんだと思う。
「ふふっ、ありがとう瀧。瀧と話してるとほんと癒される」
「…おれもです、」
この子だけは疑いたくないと、無意識にも思ってしまう。
常に疑う姿勢がどんどん身に付いていっている中でも、それでも瀧だけは。
だってこんなにも純粋に柔らかく笑っている子なんだから。
「爽雨さん、」
「ん?」
「…困ったこととか、ないですか、」
困ったこと……。
あのね、果たし状が送られちゃってね。
明日の放課後、もしかしたらわたし大怪我を負うかもしれなくて。
もちろん話し合いで解決させるつもりだけど、そうなる可能性のほうが低い。
それに久遠くんに言うのも気が引けるし、それにこの数日、諸事情とやらで学校には来ていないみたいだから。
忙しいのかなって、わたしは言わない選択をした。
「……あ、ひとつだけあるかも、」
「え、なんですか?」