若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
プロローグ

美夕(みゆう)が婚姻を結んだのは十八歳のとき。

しかし、妻として愛されることはなかった。

十歳年上の夫は、美夕を守り養いはしたものの、女性として扱うことはしなかった。

以来、美夕は夫に会うことすらかなわず、かりそめの指輪を与えられ、ひとりきりで生きてきた。

それから六年。二十四歳となり自立した美夕が望んだことはただひとつ。

『私と、離婚してください』

なのに――。



その日、夫は真摯な眼差しで肩書だけの妻を見下ろした。

目の奥に宿る熱い欲情。それはこれまで美夕が見たことのない雄の顔。

ベッドに体を押し付けられ、高鳴る鼓動。全身の血液が勢いよく体を巡り、美夕の肌を桃色に染め上げていく。

『そろそろ役目を果たしてもらおうか』

男の艶めいた微笑に、心を奪われそうになる。

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