若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「『同伴可能』と書いてあるが?」

慶は目ざとくその一文を拾って美夕に尋ねてきた。

「『同伴必須』ではないから大丈夫、なんの問題もないから」

「その場合、お前は誰を連れていくんだ?」

「誰も連れてはいかない。会社の独身‘sと大人しくシャンパンでも飲んでるわ」

ぴくりと慶が眉をひそめる。

「その独身‘sは男なのか?」

「え……」

ぱちりと美夕は目を瞬く。桃山に青谷、その他もろもろの顔を思い浮かべた。

「いろいろよ」

「行く」

「は?」

「同伴するって言ってるんだ」

慶はカードに目線を落としたまま、懐から携帯端末を取り出し耳に当てた。

わずかに聞こえるコール音、それが途切れると、慶は「俺だ」と雑に名乗る。

「二十三日の日曜日、日程を空けておけ。報道機関から問い合わせが来るかもしれない。妻の件だ。予定通り進めてくれ」

「ちょ、ちょっと慶!?」

いったいなんのことを言っているのか。いや、そもそも妻の件とは。予定通りって? 不穏なワードが駆け巡っていた。

「妻のことは表沙汰にならないよういろいろと手を回していたんが、俺がそのパーティーに出席すれば、どうしてもお前の顔が割れる。掘り下げようという輩も現れるだろう」

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