若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
三年という節目もあり盛大に行われるそうで、桃山も『新しいワンピース買っちゃおうかなー』などと張り切ってはいたが――。

「揃えて新調するか」

慶が漏らしたひと言に、思わず「へ」と声を裏返らせる。

「次の日曜日、予定を空けておけ。買い物に出かける」

「そんな急に」

「デートの予定でも入っているのか?」

慶がにやりと意地の悪い笑みを浮かべる。そんなものないとわかっていながら聞くのだから性格が悪い。

仮に『入っている』と答えようものなら、浮気だと怒るつもりなのだろう。

「ああ、それから、来月の二十日、空けといてくれ」

「二十日? いったいなにが……」

「今度は俺の会社の方でパーティーがある。社長夫人として出席してほしい」

さらりととんでもないことを言い置いて、慶はリビングを出ていこうとする。

本気で美夕のことを妻だと周囲に紹介するつもりだろうか。慶の隣を堂々と歩いていいのか――美夕は不安が拭えない。

「……だいたい、そっちのパーティーこそなにを着ていけばいいの?」

社長夫人として出席するのなら、安物のパンツスーツでふらっと顔を出すわけにもいかないだろう。

それなりに着飾らなければ、慶が恥をかく。

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