若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
美夕はスタッフの手を借りて試着し、慶のもとへ。慶は即座に「購入する」「似合わない。別のものを」と判断してくれる。

美夕が「これは似合っているのかしら?」「ちょっと微妙?」と感じたものは、慶も候補から外してくれる。ふたりの美的感覚は一致しているようだ。

ときおり、「お疲れになりましたでしょう?」とスタッフがシャンパンやフルーツを勧めてくる。マッサージも勧められたが、さすがにそこまでお願いするのは気が引けて、丁重にお断りした。

購入することになった服は四着。いずれもハイブランドのドレスやワンピースで、合わせて靴やバッグもコーディネートした。

加えて一着、オーダーメイドでドレスを作るという。

「来月のパーティーは、マスコミにも写真が出回る」

「それでオーダーメイドを?」

「どこのブランドのいくらの服だのと、暴かれても面倒だろう。いっそオーダーメイドの方が気楽だ」

デザイナーが生地や色、形のサンプルを見せてくれる。

「これなんか綺麗じゃない?」

美夕が心引かれたのはシルクタフタ。表面に光沢があり、艶やかな生地だ。その中でもシャンパンピンクを選ぶと、慶は難しい顔で首を捻った。

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