若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
今ならわかる。慶は美夕を閉じ込めていたのではない、守ってくれていたのだ。

そして、自由を与えてくれた。好きな学校に行って、好きに働いて、自分のやりたいことを実現できるように。

「青谷くんに自信満々に言ってたじゃない。妻は俺を選んだって」

「自信満々に見えたか？　光栄だな。役者になれそうだ」

慶の手が美夕の頬に伸びる。

慶の切なげな眼差しは、まるでこっちに来てくれと祈っているようで、美夕の体は自然と吸い寄せられていった。

「なんだか、慶らしくない」

「俺はどんなふうに見えているんだ？」

「ふてぶてしくて、王様気取りで、高慢で――」

慶がふっと笑みをこぼす。美夕の背中に手を回し優しく引き寄せると、その腕に抱き込み、首筋で弱々しい声を漏らした。

「悪い。少し、嫉妬した」

慶の腕の中で美夕は目を瞬く。

慶が嫉妬するほど自分に執着していたのだと知り、たまらなくなって目の前のジャケットをきゅっと掴む。

向けられたのは負の感情なのに、不思議と嬉しく感じられる。

触れ合う体が暖かくて心地いい。なぜだかとても安心した。

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