若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
慶も自身のジャケットを脱ぎ捨て、緩んでいたネクタイを引き抜く。シャツのボタンをひとつ、ふたつと外し、逞しい胸を晒した。

彼の肌を目にした瞬間、美夕の息遣いが激しくなる。

「よく見たい。手をどかせ」

美夕が胸の前でクロスした手を、慶は剥ぎ取ろうと腕を掴む。

「焦らすな」

「焦らしてないわ、本当に恥ずかしいのよ」

「今さら恥ずかしがるなよ。六年もこうされるのを待っていたんだろ」

見透かされたような言葉に、美夕の顔に熱がこもる。白い頬がみるみる赤く染まっていき、慶は一瞬目を丸くして、ぷっと吹き出した。

「し、失礼ね、人の顔を笑うなんて」

「違う」

慶が破顔して美夕の上唇にかみつく。

「かわいい」

そうささやいて、美夕の腕の隙間から手を滑り込ませ、胸に触れる。

今度こそ隙をつかれ、無防備に「あっ……!」と甘い嬌声を上げた。

力が抜け、手脚の筋肉が緩む。

慶は美夕の腕を掴み上げると、隠すもののなくなった体に丁寧に唇を這わせ、昂らせた。

細い体をくねらせ悶え、小鳥のようなか細い悲鳴を上げる美夕に、慶は「くっ――」と余裕のない声を漏らす。

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