若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「あー青谷くんね、昨日、北菱さんの旦那さんにコテンパンにやられてから、ずっとああなんだ」

「っ、放っといてください!」

青谷はくわっとかみついて、PCのディスプレイに顔を埋めた。

「……なんであんなオッサンとずっと一緒にいるんだか。六年も放置されたってのに」

「いや、オッサンって、あんたよりはるかにイケメンで大金持ちだからね? 結婚するなら間違いなくあっちだよ」

「し、失礼ですね! 桃山さん!」

美夕はふたりのやりとりを困惑しながら見守る。

席についてPCを立ち上げていると、桃山が「でも、気づいた?」と美夕と青谷を交互に見回した。

「旦那さん、北菱さんのことすっごいガードしてたね」

「え?」

「北菱さんに男性社員が近づくと、しっかり腰に手を回して『俺のモノだ!』みたいにアピールして。あれ、冷静そうに見えて内心すごく嫉妬深そうっていうか。北菱さんのことめちゃめちゃ大事にしてるやつだと思う」

まったく気づかなかった美夕は、ぽかんと口を開く。

たまに腰に手を回されたことは覚えているけれど、単に手持ち無沙汰なんだろうなあくらいに思っていた。

自覚した途端、急にのぼせたように顔が熱くなってくる。

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