若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】

勅使河原議員は、気に入らないものはどんな手を使ってでも消すタイプの人間のようだ。

あるいは、花柳を野放しにしておけば、自身の身の安全が脅かされると思ったのかもしれない。検察官と共謀し、花柳に汚名を着せようとしている。

「僕の考えが甘かったよ。まさか、検察を利用してくるとは思わなかった」

「検察は世間への見せしめとなるような著名人の起訴に積極的ですからね。出世の点数稼ぎでしょう。そこへ漬け込み、議員は誤った情報を流して起訴を促した」

「これまで生贄になったのは僕だけではないのかもしれないね。いち検察官と権力者の癒着は大きな問題だなあ。まあ、もはやどうこう言える立場ではないけれど」

慶は検察と勅使河原議員との繋がりを調べるにあたって、議員の過去の疑惑についても調べ尽くしている。

いずれも証拠は上がらないものの限りなく黒に近いグレーであることがわかった。

勅使河原議員の存在を軽視しすぎていたことを今さら悔やむ。とんだ曲者だった。