若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「……本当に、本当に美夕をもらってくれるのかい? ご両親はきっと反対するだろう」

「ずっと両親の期待に応えて生きてきた。一度くらいわがままを言っても許されるでしょう」

「わがままのレベルが違う」

花柳はははっと笑い視線を落とす、次に顔を上げたとき、その目は赤く潤んでいた。

「頼む。美夕を、ひとりでも生きられるくらい、強い子に育ててやってくれ。あれは体は大人に見えて、中身はまだまだ子どもなんだ。意地っ張りで生意気なくせに、本当は臆病で心の弱い子なんだよ」

「……承知しました」



それからすぐに慶は自分の両親を説得し、婚姻届けを用意。美夕を娶る準備をした。

花柳は娘を説得。

突然結婚しろと命じられた美夕は、不満を漏らすかと思いきや、驚くほどあっさりと承諾した。

慶の頭の片隅に十年前の約束が掠める。

『私をお嫁さんにしてください』

まさか子どもの頃の約束を律儀に覚えているわけではないだろう――慶はそう斜にかまえつつも、美夕が望んで自分のもとへ嫁いでくれるのだと信じたかった。



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