若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
美夕が嫁ぎ早二日。ようやく慶は海外出張を終え、急ぎ実家へと戻ってきた。

突然嫁がされてきた美夕に、まだなんの説明もしていない。きっと慣れない家で心細い思いをしているだろう。

父親が逮捕されることも伝えておかねばならない。

大学を中退させ、北菱美夕として新しい人生を歩ませてやらなければ。

そもそも、美夕は父のあとを継ぐために経営学部に入学したそうだが、もはや継ぐ場所がないのだから、この先の人生をどうしたいか、ゆっくり考えてもらう必要がある。

そのサポートを、自分がうまくできればいいのだが。

自分も恩師のように人を導くことができるだろうか。十も年下の女の子、しかも無理やり嫁がせた妻を。

ああそうだ、無理やり手籠めにする気などないことを、まずはきちんと伝えておかなければ。右も左もわからない十八の少女を抱くなど、許されるわけがない。

仕事では悩みなど抱えたことのなかった剛腕の慶だが、このときばかりはいささか不安に陥った。

その夜、使用人から美夕は寝室にいると聞かされ、意を決して開けたドアの先で。

美夕が全裸すれすれのシフォン素材の下着を纏っている姿を見て、頭の中で組み立てていたあらゆる計画が吹き飛んだ。

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