若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
桐江から『男性と交流している様子はありません』と報告を受けるたびに、操を立ててくれているのではと無意識のうちに期待していた。

(彼女が離婚したいと言うのであれば、させてやるべきだ。これで先生へ顔向けができる)

しかし、ふと美夕が「私のことを妻だなんて思っていないくせに」といじけた言葉を口にした瞬間、ただ自分を嫌悪しているだけではないのだと気づいてしまった。

美夕はまだ慶に好意を寄せている。六年間も放置し、関わらないよう細心の注意を払い接してきたというのに。

その瞬間、胸に閉じ込めていた感情が溢れ出すかのように、美夕への独占欲が噴出した。

「この六年間、誰とも寝ていない。おかげでフラストレーションが溜まってるんだ」

気づけば唇を奪っていた。美夕はもう二十四歳、女性として見るには問題ない年齢だ。

……素直ではない彼女に頬を叩かれてしまったが。

「愛してやろうか?」

挑発的にささやいて、美夕の心を自分に向けさせる。

自分がすべきだったのは、距離を取ることではない。そばにいることだったのだとようやくわかり、罪悪感が押し寄せてきた。

(もう離さない。彼女を追い詰めた六年分、存分に愛し抜く)

感情のベクトルが正反対を向く。徹底的に愛で、かわいがり、たっぷりと甘やかす方向へ。

美夕を妻として、永遠に愛し抜くことを決めた瞬間だった。



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