若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
ひと通り挨拶を終えると、慶は美夕を連れてクローゼットルームに戻り、ルビーのネックレスを外した。

「ごめんね。重たかっただろう?」

肩の重みが消え、羽が生えたように軽くなる。随分と重量のあるものを下げていたのだなと、美夕は今さらになって気づく。

慶は美夕の肩に手を当て、優しくもみほぐしてくれた。

大きくて暖かい手、縮まる距離。彼の気遣いに冷えていた体がぽかぽかと温まっていく。

「付き合ってくれたお礼をしようか。なにか欲しいものはある?」

そう尋ねられ、美夕はぱちりと目を瞬く。

欲しいものと問われ、真っ先に思い浮かんだのは先ほどのルビーのネックレス。けれど、あれを欲しいと言っては困らせてしまいそうだし、あんな宝物をもらったところで困りそうな気がした。

父やサンタさんがくれるようなものは、慶にお願いしたくない。彼でなければ価値のない、なにか特別なものがほしい。

そう考えた美夕は、ひとつの答えに行きつく。

「私をお嫁さんにしてください」

今度は慶がぱちりと目を瞬く。その願い事は予想していなかったのだろう、ややあって苦笑した。

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