若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
(どうして……?)

これまで頑なに抱いてくれなかった夫が、今では妻を昂らせようと白い肌に唇を這わせている。

絡まる四肢。交わる体温。生まれて初めて知る、男の体の重み。

自分を妻にする気などなかったのではないのか。

初めからこうするつもりだったのなら、なぜ最初の夜に抱いてくれなかったのか。

気の遠くなるほど長い時間、ずっと離婚することだけを考え、生きてきたというのに。

美夕の決意は、男の眼差しひとつであっさりと揺さぶられ乱される。

『今抱いてやるから、安心しろ』

あるいは、心の奥底で、ずっとこうされるのを願っていたのかもしれない。

(けい)……』

本当は恋しくてたまらなかった最愛の夫の名を、熱い吐息とともにこぼした。



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