若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
ふたりは静かに視線を戦わせる。

そこへ、仲居がお茶とおしぼりを持ってきた。

「お料理をお持ちしてもよろしいでしょうか?」

「あとにしていただけますか。まずは仕事を済ませてしまいます」

慶の返答に、仲居は「どうぞごゆっくり」と部屋を出ていく。

「お食事もお預けなんて」

江怜奈が愚痴を吐くが、これも議員が目で黙らせた。

「北菱君。前にも伝えたと思うが、私は君を買っている。期待しているんだよ」

議員がお茶を口に運びながら、ゆったりと話し始める。

「君はサラブレッドだ。君のお父様やお祖父様も経営者としては優れていたが、それ以上に君は若くして強大なコネクションを得た。日本にとどまらず、世界経済を動かせるだけの人脈を持っている」

「買い被りすぎでは」

「謙遜はよくないな。先日、アメリカのジャファーズ・ファイナンシャルグループと提携を結んだそうじゃないか」

ジャファーズ・ファイナンシャルグループとは、米金融大手。現地での事業拡大を狙った提携だ。

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