若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「国内市場が頭打ちの中、海外マーケットの拡充に力を入れるのは当然だが――あの社長がよく条件を呑んだものだ。どんな餌を用意したんだ? 簡単に決断、実行できることじゃあないとも理解している」

北菱グループは先月もアジア新興国の企業買収を発表したばかりだ。

慶の決断により動く金額は、何百億、ときに兆に及ぶ。

機を見極め、俊敏に決断し動く。経験や知識ももちろんだが、度胸や決断力、それを可能にする人脈など、並大抵のことではないと美夕にも理解できる。

「次期経団連盟の会長とさえ言われている。知っているだろう、これまで会長に就いた人物は政権と蜜月な関係を築いてきた。経済だけではなく、政治に介入する力を持っている」

「それを利用させてほしいと?」

「違うよ。私はいずれ政権を動かす人間になる。そのとき、君が隣にいてくれると心強い」

勅使河原議員が政治の中枢にいるのは間違いない。誇張ではなく、いずれ与党のトップに就く日もくるかもしれない。

そのとき、財界のトップと繋がりがあれば、圧倒的な権力を得られる。

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