若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
土日は習い事で埋まった。茶道、英語、マナーレッスンに、果ては日本舞踊まで。

華道と書道は幼い頃に習っていたため免除され、ホッとした美夕だが、幼少教育にこんな助けられ方をされるとは思わなかった。

大学への通学は送迎車を使うこと、当然帰宅時の寄り道は禁止、アルバイトも禁止、ご学友と勉学なさる場合は事前に連絡を――と言われたところで、もう大学で友だちと遊んだりサークル活動に参加したりするのは無理だろうなと美夕はあきらめ気味だ。

(質が悪いことに、旦那様や奥様のご命令ではなく、使用人頭の独断のようなのよね)

美夕が使用人頭に叱られているのを見て、温厚な奥様は「ほどほどにしてあげてね」と困ったような顔で笑っていた。

思うに、この旧財閥系北菱家は、嫁いだ他家の娘より古くから仕える使用人の方が、立場が上なのではないだろうか。

(きっと奥様もこうしていびられ――もとい、鍛えられてきたんだわ)

花嫁修業だと言われれば、反論もできない。

これが大学を卒業するまでの四年間、いや、永遠に続いていくのだろうか。考えただけでも美夕は怖ろしくなった。



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