若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「帰ってきたか」
廊下の奥から姿を見せたのは、もはや滅多に会えないレアキャラと化した夫、慶。
美夕を一瞥すると、「来い」と端的に命令し階段を下っていった。
「あの、どこへ……?」
「ここを出る」
慶はそれだけ答え玄関に向かう。
すると、廊下の奥から「慶様、困ります!」という叫びが聞こえた。
使用人頭がはあはあと息を切らしながら、美夕たちのもとまでやってくる。
「美夕さまはまだ花嫁教育が終わっておりません! 勝手に連れ出されては――」
「そんなもの、いつ施せと指示した?」
冷ややかな慶の声に、美夕の方がびくりと震え上がった。慶はなぜかものすごく怒っているようで、その矛先を使用人頭に向けている。
「美夕はまだ十八の学生だ。学生の本分は勉学、そして社会勉強だろう。花嫁教育などいらない。俺は妻に日本舞踊など求めていない」
すっぱりと言い切ると、「来い」と美夕の腕を掴んだ。
美夕を引きずって玄関に向かうも、扉をくぐる前にぴたりと足を止め「それと」と使用人頭を睨みつける。
廊下の奥から姿を見せたのは、もはや滅多に会えないレアキャラと化した夫、慶。
美夕を一瞥すると、「来い」と端的に命令し階段を下っていった。
「あの、どこへ……?」
「ここを出る」
慶はそれだけ答え玄関に向かう。
すると、廊下の奥から「慶様、困ります!」という叫びが聞こえた。
使用人頭がはあはあと息を切らしながら、美夕たちのもとまでやってくる。
「美夕さまはまだ花嫁教育が終わっておりません! 勝手に連れ出されては――」
「そんなもの、いつ施せと指示した?」
冷ややかな慶の声に、美夕の方がびくりと震え上がった。慶はなぜかものすごく怒っているようで、その矛先を使用人頭に向けている。
「美夕はまだ十八の学生だ。学生の本分は勉学、そして社会勉強だろう。花嫁教育などいらない。俺は妻に日本舞踊など求めていない」
すっぱりと言い切ると、「来い」と美夕の腕を掴んだ。
美夕を引きずって玄関に向かうも、扉をくぐる前にぴたりと足を止め「それと」と使用人頭を睨みつける。