若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
それから一カ月。元気な女の子が生まれた。

夏の暑い日に生まれたこともあり、慶は『夕夏(ゆうか)』と名付けた。

『夕』という字を入れてくれたことに、美夕はとても感謝している。自分の子であると同時に、父から受け継いだ命だと実感できたからだ。

「きっとお父さんも喜ぶわ」

病室でベッドに腰を下ろしながら、美夕は生まれてまだ二十四時間しか経っていない夕夏を抱いて笑みをこぼす。

「先生だけじゃない。逞しい女性に育つようにと、願いを込めて『夕』にしたんだ」

「それって私のこと?」

慶の大きな手が美夕を、そして、夕夏の小さな頭を撫でる。

「なんとなく、美夕に似てるよな」

「それは……正直複雑だわ」

というのも、生まれて間もない夕夏はお猿さんのような顔をしている。この顔で似ていると言われても、喜んでいいのかわからない。

「雰囲気だ、雰囲気」

「それを言うなら、さっきの大きな泣き声は慶似じゃない? 迫力があったもの」

「いや、美夕だろ。生意気で主張の激しいところなんてそっくりだ」

「それは慶も一緒でしょ?」

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