若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
エピローグ

「待って、夕夏!」

とたとたと歩いていく一歳の夕夏を、美夕は慌てて追いかける。

部屋は広々としており、床は柔らかめな木材でできているけれど、テーブルや椅子、ソファなどの障害物もあって危なっかしい。

「落ち着きがないよな、夕夏は。誰に似たんだか」

「好奇心旺盛なところは慶にそっくり」

「昔、先生が『うちの子はお転婆で困ってる』って言ってたのを思い出す」

美夕は若干むくれた顔で、夕夏を抱いて慶のもとに戻ってくる。

嫌みの応酬をしたあとは、だいたい頬にキスで仲直りと決まっていた。

今日もお決まりの儀式を済ませ、夫婦の愛を確認する。

「旅行は、夕夏にはちょっぴり早かったかしら」

「そんなことはないだろう。新しい刺激は必要だ」

慶は「それに」と言って美夕の腕の中から夕夏を預かる。

「お前の気分転換も必要だろう。夕夏は俺が見ているから、エステでもアクティビティでも好きに楽しんでこい」

「ありがとう。気持ちは嬉しいけど、楽しむならみんなで一緒がいいわ」

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