若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
平泳ぎで慶のもとに辿り着くと、「上手だ」と抱きとめられた。

「泳ぐってこんなに気持ちよかったのね!」

「すっきりするだろ。育児が落ち着いたら、プール付きのジムにでも通うか?」

「いいかもしれない。出産で増えた体重がまだ落ちきってないの。ダイエットしなくちゃ」

美夕が嘆きながら自身の体を見下ろすと。突然慶に抱き寄せられた。

水音とともにふたりの体がぴたりとくっつき、予期せず鼓動が高なる。

「今のままで充分だから、よく見せてくれ」

慶の指先が美夕の胸もとに沈む。水滴が肌に弾かれ、つるつると滑り落ちていった。

見上げれば艶やかな微笑み。涼やかな瞳の奥から、燃えたぎるような欲情が覗いていて、呼吸が止まりそうになった。

「……慶。今、いやらしいこと、考えてる?」

「ふたりきりのときは、いやらしいことしか考えてない」

「……私も」

慶の熱い素肌にきゅっと抱きつく。水に濡れて輝く筋肉は、美夕を誘惑しているとしか思えない。

「お前から誘ってくるとは思わなかった」

「だって、慶がそんな格好してるから」

< 250 / 254 >

この作品をシェア

pagetop