若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
都心から三十分程度車を走らせて辿り着いたのは、四階建てのごく普通のマンションだった。
普通と言っても新築でぴかぴか、セキュリティも厳重で、エントランスに足を踏み入れただけでもきちんと管理されているのがわかった。
周囲は静かな住宅街。主要駅から近く交通の便もいい、学校からもそう遠くない。
(とはいえ、彼が住むには少し庶民的すぎるような……?)
不思議に思いながらも、案内されたのは三階の角部屋。慶がチャイムを鳴らすと、見知った顔の女性が玄関で出迎えてくれた。
「美夕さん、ご無沙汰しております」
「桐江さん!」
美夕は驚いて目を丸くする。彼女は美夕の実家、花柳家に仕えていた使用人の桐江真知。三年程前から美夕の世話を焼いてくれていた。
今の大学に入学できたのも、彼女が試験勉強を見てくれたおかげだ。
年は二十代中盤で、そこまで離れていないこともあり、美夕はよく懐いている。
「どうしてここに?」
「美夕さんのお世話をするようにと――」
その言葉を慶が遮る。
「違うでしょう」
桐江はびくりと肩を震わせると、気まずそうに沈黙した。慶はずかずかと部屋へ上がり込み、一方的に説明を始める。
普通と言っても新築でぴかぴか、セキュリティも厳重で、エントランスに足を踏み入れただけでもきちんと管理されているのがわかった。
周囲は静かな住宅街。主要駅から近く交通の便もいい、学校からもそう遠くない。
(とはいえ、彼が住むには少し庶民的すぎるような……?)
不思議に思いながらも、案内されたのは三階の角部屋。慶がチャイムを鳴らすと、見知った顔の女性が玄関で出迎えてくれた。
「美夕さん、ご無沙汰しております」
「桐江さん!」
美夕は驚いて目を丸くする。彼女は美夕の実家、花柳家に仕えていた使用人の桐江真知。三年程前から美夕の世話を焼いてくれていた。
今の大学に入学できたのも、彼女が試験勉強を見てくれたおかげだ。
年は二十代中盤で、そこまで離れていないこともあり、美夕はよく懐いている。
「どうしてここに?」
「美夕さんのお世話をするようにと――」
その言葉を慶が遮る。
「違うでしょう」
桐江はびくりと肩を震わせると、気まずそうに沈黙した。慶はずかずかと部屋へ上がり込み、一方的に説明を始める。