若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
嫁として期待はしていないから北菱家には置いておけない、かと言って離婚をするつもりもない。

生活費と学費は振り込むから、ひとりで生活しろという。

こんなに横暴なことがあってたまるだろうか。心の中で慶への不満をぶつける。

せめて離婚でもして解放してくれればいいものを、飼い殺しとは。体裁でも気にしているのだろうか。

だったら最初から、嫁になどもらわなければよかったのに。

暗い目をしてつぶやいた美夕に、桐江は慌てて「それは違います!」と言い募る。

「桐江さんは事情を知っているの?」

「私の口から言えることでは……ですが、慶様はきちんと美夕さんのことを考えてくださっています! それは本当です」

美夕はふっと自嘲の吐息を漏らす。

家を与えて生活費を振り込む、それが美夕のためだというのなら、お門違いもいいところだ。

挙句、当分はこの家に軟禁するつもりだと言う。いったいなにを考えているのか。

「……妻として見る気もないのに、北菱家でずっと花嫁修業させられるよりはマシね」

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