若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
美夕が教師付きのひとり暮らしを始めて、三日後のことだった。

慶の指示通り、大学を休んで家に閉じこもっていると、衝撃的なニュースがテレビから流れてきた。

ガシャンと音を立ててティーカップが転げ落ち、紅茶がマットに広がる。

「美夕さん!」

幸いカップは割れなかったし、火傷もしなかったが、淡いグレーのマットに沁み込んだ紅色を落とすのは骨が折れるだろう。

だが、そんなことは今の美夕には考えられない。

『不動産会社経営・花柳夕輔 巨額横領容疑』

テロップに目が釘付けになる。父の会社を特捜部の面々が取り囲み、家宅捜索に入る様子が映し出された。

いったいなんの冗談? そう思い桐江を見つめると、彼女はそこまで驚いた様子もなく、ただ心配そうに美夕のことを見つめていた。

まるで、この情報をあらかじめ知っていたかのような反応だ。

「……まさか桐江さん、知っていたの?」

桐江は唇をかんで、目を逸らす。彼女の瞳にはじんわりと涙が溜まっていた。

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