若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
生暖かい液体が許容量以上に流れ込んできて溢れそうになる。咄嗟にごくりと喉を上下させたけれど飲み干し切れず、少量が気管に流れ込んだ。

むせて、咄嗟に慶の体を突き飛ばす。うずくまってげほげほと咳込んでいると、悪びれもしない声が降ってきた。

「量が多かったか? すまん」

「こ、殺す気ですか……!?」

「食えないというから、食わせてやったんだが。雛鳥のように」

信じられないとばかりに慶を睨みつける。普通食わせてやるといったら、スプーンで口もとに運ぶとか、そういうのではないのか。まさか口移しとは。

「あ、あなたって人は、どこまで――」

人をおちょくるのもいい加減にして、そう言おうと睨みつけたところで、慶は鋭い眼差しを向けてきた。

「お前、父親の人生が終わったとでも思っているのか?」

心臓が大きく鳴る。

慶のどすの利いた声にも、冷ややかな眼差しにも、その言葉の内容にも戦慄して、肌がひりつく。

「はっきり言う。お前の父親は、真実はどうあれ必ず有罪になる。同様の犯罪に対する牽制や見せしめもかねて、重い罪が課されるだろう」

美夕はぎゅっと自身の肩を抱き縮こまる。充分理解していた内容だったが、実際に突きつけられるとどうしようもなく苦しい。

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