若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
食事を終えると、慶は紙袋の中から雑誌などがすっぽりと収まりそうな分厚い封筒をいくつも取り出した。
テーブルの上に封筒が積み上がっていくのを見つめながら、美夕はぱちぱちと瞬きする。
「これはなんです?」
「今の大学は辞めてしまえ。もう不動産業界の仕事なんて就く気にはならないだろ。お前が大学に顔を出せば、騒ぎになる」
美夕はきゅっと唇をかみしめ、うつむいた。
大学には旧性の『花柳美夕』で籍を置いている。花やぎ不動産の社長令嬢だと名乗ったことはないが、これだけメディアが『花柳夕輔』の名前を連呼していれば、名字どころか名前まで似ている美夕を疑う人間は必ずいるだろう。
下手をすればキャンパスにマスコミが押しかけるかもしれない。
どこにでもいる名字ならば怪しまれなかっただろうが、珍しい名字が仇となった。
「『北菱美夕』の名で再スタートしろ。好きな学校へ行って、好きな仕事に就けばいい」
そう言って、慶はひとつひとつ封筒をひっくり返した。
中から出てきたのは、大学や専門学校のパンフレット。机の上が冊子や書類でいっぱいになる。
「マスコミ関連の学科がある大学や専門学校をピックアップした。まあ、お前がまだそういう仕事に興味があればの話だが。父親がさんざんマスコミに叩かれて、嫌な思いもしただろう。他に興味のある分野があれば言え。資料を取り寄せる」
テーブルの上に封筒が積み上がっていくのを見つめながら、美夕はぱちぱちと瞬きする。
「これはなんです?」
「今の大学は辞めてしまえ。もう不動産業界の仕事なんて就く気にはならないだろ。お前が大学に顔を出せば、騒ぎになる」
美夕はきゅっと唇をかみしめ、うつむいた。
大学には旧性の『花柳美夕』で籍を置いている。花やぎ不動産の社長令嬢だと名乗ったことはないが、これだけメディアが『花柳夕輔』の名前を連呼していれば、名字どころか名前まで似ている美夕を疑う人間は必ずいるだろう。
下手をすればキャンパスにマスコミが押しかけるかもしれない。
どこにでもいる名字ならば怪しまれなかっただろうが、珍しい名字が仇となった。
「『北菱美夕』の名で再スタートしろ。好きな学校へ行って、好きな仕事に就けばいい」
そう言って、慶はひとつひとつ封筒をひっくり返した。
中から出てきたのは、大学や専門学校のパンフレット。机の上が冊子や書類でいっぱいになる。
「マスコミ関連の学科がある大学や専門学校をピックアップした。まあ、お前がまだそういう仕事に興味があればの話だが。父親がさんざんマスコミに叩かれて、嫌な思いもしただろう。他に興味のある分野があれば言え。資料を取り寄せる」