若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
「お前は北菱家の嫁という社会的地位を得た。財産もたんまりある。離婚されるまでせしめてやろうくらいのふてぶてしさでいろ」
「強欲ではしたない女になれと?」
「上等だ。それが強く生きるということだ」
北菱家を利用する――美夕は考えたこともなくて、目から鱗が落ちるような思いだった。それもまさか、北菱家の人間から提案されるとは。
「俺のもとから逃げ出したいと思うなら、一人前になって自活してみせろ。他人に頼ることなく生活できるようになれ」
その言葉で、美夕はなんとなくわかった気がした。なぜこの家に住まわせ、桐江を指導係として置いたのか。
美夕がひとりで生きられるようになったあかつきには、離婚をするつもりなのだろう。
学校に通わせてくれるのは、せめてもの慈悲だろうか。自身の気まぐれで美夕を娶ってしまったことに、多少なりとも罪悪感があるのかもしれない。
「……そうすれば、離婚してくださいますか?」
低い声でそう問い詰めると、慶はいじわるな顔で微笑んだ。
「ああ。その代わり、離婚が成立するまで、お前は俺の妻だ。肩書だけは、な」
慶がポケットに手を突っ込み、茶色い小箱を取り出す。
「強欲ではしたない女になれと?」
「上等だ。それが強く生きるということだ」
北菱家を利用する――美夕は考えたこともなくて、目から鱗が落ちるような思いだった。それもまさか、北菱家の人間から提案されるとは。
「俺のもとから逃げ出したいと思うなら、一人前になって自活してみせろ。他人に頼ることなく生活できるようになれ」
その言葉で、美夕はなんとなくわかった気がした。なぜこの家に住まわせ、桐江を指導係として置いたのか。
美夕がひとりで生きられるようになったあかつきには、離婚をするつもりなのだろう。
学校に通わせてくれるのは、せめてもの慈悲だろうか。自身の気まぐれで美夕を娶ってしまったことに、多少なりとも罪悪感があるのかもしれない。
「……そうすれば、離婚してくださいますか?」
低い声でそう問い詰めると、慶はいじわるな顔で微笑んだ。
「ああ。その代わり、離婚が成立するまで、お前は俺の妻だ。肩書だけは、な」
慶がポケットに手を突っ込み、茶色い小箱を取り出す。