若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
程なくして、車が南麻布に到着する。

慶の自宅は高級低層マンション。メゾネットタイプで、二階建ての戸建てとそう変わらないように見えた。

違いといえば、二十四時間対応のコンシェルジュサービスやデリバリー付きの高級レストランが併設されていることくらいか。

「二階に美夕の寝室と私室を作った。家具は基本新しいものを入れてあるが、もし前の家で気に入っているものがあれば言え。取り寄せる」

前の家の家具はオシャレで、すべて気に入っていたけれど、慶が用意してくれた新しい部屋の家具はいっそう洗練されていて、手を加える気も起きなかった。

グレーを基調としたシックで落ち着いた寝室、ホワイトとライトブラウンでコーディネートされたシンプルな書斎。

違うのは、部屋の印象がぐんと大人っぽくなっていたこと。以前が大学生の部屋だとしたら、今度は三十代、四十代でも使える女性の部屋だ。

(ちゃんと大人の女性扱いされている……)

これを与えられたのだと考えると、不本意ながら嬉しかった。

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