若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
慶は『お前自身が選べ』と言っていたけれど、慶にだって選択権はある。美夕がこの家にいて居心地が悪いと感じたら、離婚を考えるだろう。

「ちょっとは取り繕った方が、いいのかしら……」

よき妻の振りをした方がいい?と悩むが、それも長くは続かないだろうと嘆息する。

ダメならダメ、そのときはそのときだ。

慶に捨てられるという恐怖は、美夕にはなかった。むしろ、今一緒にいることの方が不思議なくらいだ。

ありのままの自分でいようと心に決め、美夕はバスルームを出る。

「お風呂、いただきました」

美夕がそう声を上げリビングに戻ると、慶はソファから「ああ」と雑に返事をした。

大型モニターに経済ニュースを流しながら、膝の上のPCを睨んでいる。仕事でもしているのか、ノンフレームの眼鏡をかけていた。

初めて見る眼鏡姿は知的で、よけいに格好よく、洗練されて見える。

「眼鏡、かけるんですね」

「ああ、遠視だ」

慶はPCをローテーブルに置くと、眼鏡を外した。

キッチンに向かい「なにか飲むか? ミネラルウォーター、炭酸水、シャンパンでもいいが」と声をかけてくる。

「自分でやります」

慶を追いかけてキッチンに向かい、ふたりで冷蔵庫を覗くと、驚きの光景が広がっていた。

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