若き金融王は身ごもり妻に昂る溺愛を貫く【極上四天王シリーズ】
美夕はふてくされながら、クロワッサンを大きめにちぎり口に運ぶ。サクサクふわふわ、バターの香りが強くてとてもおいしいが、心中は複雑だ。
「明日からは家で食べましょうね。慶さんの分のヨーグルトとフルーツも買っておきますから。あ、でも、あーんはしません」
「本当に強引だ」
そうぶつぶつ文句を漏らすものの、慶はヨーグルトを綺麗に完食してくれる。
なんだかんだこちらに合わせてくれることが、美夕は嬉しかった。
「おはようございます~……」
こういう日に限って日比谷線はまさかの遅延で、オフィスのある日本橋についたのは定時ぎりぎりだった。
広尾周辺は駅やバス停が密集している地域。探せば迂回路もあったはずだが、慣れない土地で手間取ってしまった。
二日連続で遅刻しかけたことに罪悪感を覚える。
「おはよ。朝からぐったりして、大丈夫?」
桃山が猫マグを片手に尋ねてくる。青谷が離席中である今が好機だと、美夕は小声で事情を説明した。
「実は、夫と同居することになりまして」
「わぁお。っていうか、同居ってなに? ごく普通の結婚生活に戻っただけじゃない」
「まぁ……そうなんですけどね……」
事情が事情なだけに状況はまったく普通ではない。
「明日からは家で食べましょうね。慶さんの分のヨーグルトとフルーツも買っておきますから。あ、でも、あーんはしません」
「本当に強引だ」
そうぶつぶつ文句を漏らすものの、慶はヨーグルトを綺麗に完食してくれる。
なんだかんだこちらに合わせてくれることが、美夕は嬉しかった。
「おはようございます~……」
こういう日に限って日比谷線はまさかの遅延で、オフィスのある日本橋についたのは定時ぎりぎりだった。
広尾周辺は駅やバス停が密集している地域。探せば迂回路もあったはずだが、慣れない土地で手間取ってしまった。
二日連続で遅刻しかけたことに罪悪感を覚える。
「おはよ。朝からぐったりして、大丈夫?」
桃山が猫マグを片手に尋ねてくる。青谷が離席中である今が好機だと、美夕は小声で事情を説明した。
「実は、夫と同居することになりまして」
「わぁお。っていうか、同居ってなに? ごく普通の結婚生活に戻っただけじゃない」
「まぁ……そうなんですけどね……」
事情が事情なだけに状況はまったく普通ではない。