雷鳴に閉じ込められて
「また明日も、よろしくお願いします！」

タケミカにそう言い、萌黄は神社に背を向けて家へと向かう。振り返ることがなかったため、タケミカがどんな目で自分を見ていたのか、萌黄は知らなかった。

タケミカは、蕩けるような目で萌黄の後ろ姿をジッと見つめていた。



そして、タケミカと出会ってから半年ほどが過ぎた頃のことだった。

夕方、母と萌黄が台所で夕食の支度をしていると、バタバタと大きな足音が廊下から響く。何やら興奮した様子の父が、「おい！！」と大声を出しながら台所までやって来た。

「どうしたんですか？あなた」

「お父様？」

食事の支度をする手を止め、萌黄と母は父の方を見る。父は両膝に手をつき、ゼェハァと大きく息を吐きながら言った。

「萌黄に縁談が決まった」

「えっ……」

父の言葉に萌黄は固まり、手に持っていた大根を落としてしまいそうになる。母は隣で喜び父と何かを話しているものの、萌黄の耳には入らない。
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