雷鳴に閉じ込められて
「道端で、男性の遺体が発見された。お前の縁談相手だ!」

萌黄と縁談が決まった相手がまた、何者かによって惨殺されていた。斬り付けられ、手足は焼け焦げていたそうだ。

「一体何故……」

父と母は震えながら疑問を口にするも、誰にも答えることはできない。萌黄はただ拳を握り締め、タケミカに会ってこのことを話したいと思うのだ。

二人目の縁談相手が殺害された事件でも、犯人どころか容疑者すら見つからないまま、時間だけが過ぎていった。そんな中、また萌黄に縁談の話がやってきた。今度は父と付き合いがある家の息子ではなく、近所に住むお菊の息子とのものだった。

「縁談相手が次々と殺されるなんて、あまりにも不憫だわ……。武士に恨みを持っている人の仕業に違いないけど。萌黄ちゃんには、うちで幸せになってもらいたいわ」

萌黄を哀れに思ったのか、お菊の方からこの縁談が持ちかけられた。お菊の息子は萌黄も幼い頃からよく知っている。
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