雷鳴に閉じ込められて
「悪いが、金は一銭たりとも持っていない」

萌黄は声を低くし、男になりきって言う。冷静さを装っているが、心の中は緊張しており、今にも体は震えてしまいそうだった。

「そうかい。なら、死んでもらおうか!!」

「俺らと会ったのが運の尽きだな」

男性たちが腰に差してある刀を抜く。ギラリと刀身が月明かりに照らされ、光る。斬り付けられてしまえば、萌黄の命は一瞬で奪われるだろう。

萌黄が持っているのは竹刀だ。刀には敵わない。だが、このまま殺されてたまるかと竹刀を構える。それを見て男性たちは笑い、馬鹿にした言葉をかけるが、萌黄の耳には届かない。

(戦わなきゃ、あたしは死ぬ!)

恐怖がグッと込み上げてくる。竹刀を持つ手が震えていく。だが、弱気になっていることを悟られまいと相手を必死で睨み付けていた。

「おらぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

男性が剣を振り翳しながら走ってくる。その気迫に萌黄の体は固まり、頭が真っ白になってしまった。刹那。

「うわっ、何だこれは!!」

「化け物だ!!刀の化け物だ!!」
< 4 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop